コールマン・ホーキンス/

ハイ・アンド・マイティ・ホーク
(ジャズCDベスト・セレクション)

 

【コールマン・ホーキンス】

ビーン’、‘ホーク’と愛称されたコールマン・ホーキンスが、テナーを初めて手にしたのは、わずか9歳の時であった。テナーの奏法を開発、錬磨していったホークが〈ジャズテナーの父〉と尊称されるまでになったのは、ルイ・アームストロングの影響によるところが大きい。ホークのすべてが凝縮された1枚。とくに〈➄君は変わった〉は脱皮を続けた自身を振り返る感慨。p18(稲岡)

ベン・ウェブスター/恋人と恋泥棒のために (枯葉)

【ベン・ウェブスター】

デューク・エリントン楽団には3度迎え入れられ、3度目の参加の際は終身メンバーの厚遇であった。60年代中期に渡欧、オランダを経てコペンハーゲンに移住した。これは、彼の晩年もっとも得意とするバラードに焦点を当てたライブ盤。ムード・テナーとは厳然と一線を画する。p52(稲岡)

アート・テイタム~ベン・ウェブスター

(ジャズCDベスト・セレクション)

【ベン・ウェブスター】

本作は親しみやすいスタンダード集で、彼の豪放さをおさえムーディにまとめられたノーマン・グランツの代表的な教科書である。特にロマンチックな4曲目〈マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ〉はこの曲の定番である。p53(福島)

ライオネル・ハンプトン/スターダスト

【ライオネル・ハンプトン】

ヴァイブをホーンに対抗しうるソロ楽器へと解放した彼の偉大な功績は、ジャズある限り忘れ去られることはない。ここではあえて彼の迫力満点のスーパーソロが堪能できる本作を選ぶ。p54 (悠)

レスター・ヤング/プレス・アンド・テディ

(ポートレイト・イン・ジャズ)

【レスター・ヤング】

レスターの音色は囁くように優しく、細やかなアドリブのやり取りを重視した。その後軍隊での酷い人種差別から酒と麻薬に溺れ、次第に孤立してゆく。ここでは不調とされる晩年の作品を推す。テディ・ウイルソンとのコンビは、私にはモダンな快演に思えるのだがどうだろうか。p62(福島)

アート・ブレイキー/

ジャズ・メッセンジャーズ1958・パリ・オリンピア

 

【アート・ブレイキー】

61年正月に初来日まもなく日本に一大ファンキー・ブームが巻き起こり、本作にも収録されている最大のヒット〈モーニン〉がそば屋の出前持ちのテーマになったという伝説がまことしやかに伝えられている。沸き返るオリンピア劇場満員の聴衆を得て、これぞファンキー・ジャズの極致を展開する。p88(稲岡)

アート・ブレイキー/バードランドの夜VOL.2
(ジャズCDベスト・セレクション)

 

【アート・ブレイキー】

バップ、ハード・バップ、ファンキーと末広がりに活躍した。総合的見地から、やはりバードランドの名物MCとブラウンの本作だ。p89(福島)

セロニアス・モンク/ザ・ユニーク

【セロニアス・モンク】

「切手のモンク」と通称されるCD。p96

独特のタイム感覚、肩透かしを喰うような意外性に富むアクセント、切り詰められた音数と効果的な不協和音。独特のリズムを指示するためにダンスを使ったもので、バンドのリズムが彼のダンスに合わせて見事に決まった事が何度もあったという。p97(稲岡)

セロニアス・モンク/セロニアス・ヒムセルフ

【セロニアス・モンク】

本作には彼独特の沈鬱さも難解な言葉遣いが生む曖昧さもない。孤高の美意識が明晰な光彩を放つこのソロは格別だ。心和やかですこぶる機嫌がいい。p98 (悠)

セロニアス・モンク/

ジニアス・オブ・モダン・ミュージックVOL.2

【セロニアス・モンク】

若きモンクはこの時期既に緻密なテクスチャーと固有のアドリブで愛くるしく美しい名曲を完成している。モンクのバイブルは本作の中にある。彼はこれらを天空に供え、まるで人生をアドリブするが如く、その後も名演奏を数多く残した。p98(福島)

ミルト・ジャクソン/プレンティ・プレンティ・ソウル
(ジャズCDベスト・セレクション)

【ミルト・ジャクソン】

ツボを押さえたクインシーの編曲、ブレイキーのノリのいい痛快なサポート等々、ジャズのトータルな魅力は絶大だ。p117 (悠)

デクスター・ゴードン/モンマルトル・コレクション
(モダンジャズ決定盤)

 

【デクスター・ゴードン】

62年に渡欧したデックスをコペンハーゲンは、クラブ・モンマルトルに捉えたライブ録音。テンポのある曲では豪放にブローし、バラードでは一音一音をじっくり歌い込むというデックスの特徴が全開している。p118 (稲岡)

デクスター・ゴードン/アワ・マン・イン・パリ
(ジャズCDベスト・セレクション)

【デクスター・ゴードン】

ゴードンが麻薬禍を克服したのは60年代初頭。渡欧した彼が、渡欧中のパウエルら往年のバップ旗手たちと共演したこの一作は、彼の復活を著しく印象づける記念碑的作品となった。p119(悠)

デクスター・ゴードン/ダディ・プレイズ・ホーン

【デクスター・ゴードン】

60年頃まで麻薬に囚われ演奏は少ない。復帰を試みた際の力演が本作だ。61年にブルーノートに復帰し、その後もヨーロッパで時代の証人として活躍した。p119(福島)

J.J.ジョンソン/ダイアルJ.J.5
(ジャズCDベスト・セレクション)

【J.J.ジョンソン】

パーカーの革新的技法をトロンボーン奏法援用した最大の立役者としての功績を過小評価してはならない。サックス奏者ジャスパーらの好演もあり、名手達の余裕綽々たるプレーに心弾む。p122(悠)

J.J.ジョンソン/ジ・エミネント・J.J.ジョンソンVOL.1

【J.J.ジョンソン】

バップからハード・バップ・スタイルに移行する中でC・ブラウンを迎えた歴史的演奏である。正統的超絶技巧の持ち主で、アレンジャーとしても評価は高い。p123(福島)

サラ・ヴォーン/枯葉 (枯葉)

【サラ・ヴォーン】

サラはオペラ歌手並みの声域をもつ。唱法も舞台姿も誠にエレガント。歌うために生まれてきたジャズ・ヴォーカルの申し子だった。傑作、秀作は数え切れず。この盤はその1つに過ぎないが、スキャットで通した異例の〈枯葉〉をはじめ、バラードに、スインガーに、円熟の極致ともいうべき境地を披露する。p124(悠)

ウェス・モンゴメリー/

スモーキン・アット・ハーフノート

【ウエス・モンゴメリー】

昭和40年から50年にかけて都内にジャズ喫茶は100軒以上あった。学生たちは思い思いに本を読んだりしながら…レコードを丸暗記してしまうほど通いつづけた。ウェスの本作等は青春時代を呼び起こす。p135(福島)

ウェス・モンゴメリー/

インクレディブル・ジャズ・ギター
(ジャズCDベスト・セレクション)

『フル・ハウス』と並ぶウェスの最高傑作。ここに展開されるオクターヴ奏法を初めとする華麗な技法は、文字通り❛インクレディブル❜(途方もない)だった。ジャズギター界は彼の出現で、過去を超える展望をもつことになった。これはまさに衝撃的波紋を呼んだ一作で、リヴァーサイドへ吹き込んだ中の白眉である。p135(悠)

アート・ペッパー/モダン・アート
(モダンジャズ決定盤)

【アート・ペッパー】

56~57年に再起、信じがたいモダンな名演を展開した。本作は当時の形式とかけ離れた自由で大胆なアドリブで、情感が爆発するこの演奏には美と虚無の矛盾を突きつけられ、胸を締め付けられるような余韻を残す。p141(稲岡)

ロイ・ヘインズ/ウィ・スリー

【ロイ・ヘインズ】

スタジオ録音でありながら気持ち良く寛いだ内容で、ロイのタイトで的確なドラミングに負うところが大きい。超絶技巧を適度に押さえたフィニアスのピアノも好感が持てる。p135(稲岡)

マイルス・デイヴィス/スケッチ・オブ・スペイン
(モダンジャズのたのしみ)

 

【マイルス・デイヴィス】

彼には「プリンス・オブ・ダークネス」「ジャズの帝王」「リビング・レジェント」などのニックネームが冠せられたがどれも畏敬のニュアンスを含んでおり彼に対する評価が窺い知れる。p146

ベストに挙げた『スケッチ・オブ・スペイン』は、マイルスの奏法、語り口を知り尽くしたギルの完璧なアレンジを得て、マイルスはギターのために書かれた曲をオリジナル曲であるかのように吹き切る。p147(稲岡)

マイルス・デイウィス/クッキン (jazz3)

【マイルス・デイヴィス】

55年のニューポート・ジャズ祭での成功で名声をつかんだ彼は、ジャズ界の牽引者として不動の活躍を開始する。その日の出の勢いを誇示したのが翌年のプレスティッジのマラソン・セッションで、これはその4枚中の1枚。p148 (悠)

ジョン・コルトレーン/クレセント(モダンジャズ決定盤)

【ジョン・コルトレーン】

ここには、高い緊張を持続しながらも人間離れしたのちのコルトレーンはいない。というより、地上を飛び立つ直前の、哀惜の情を漂わせた人間臭い等身大の男がいる。p157(悠)

ジョン・コルトレーン/バラード(jazz5)

【ジョン・コルトレーン】

結成間もないレギュラー・カルテットでバラード集制作の英断を敢行し、コルトレーンは見事に応えた。バラードを吹けるようになったら一人前といわれるが、このときコルトレーンは36歳。翌年、ジョニー・ハートマンともバラード集を制作、後世に残す。p158(稲岡)

スタン・ゲッツ/スタン・ゲッツ・カルテット
(ジャズCDベスト・セレクション)

 

【スタン・ゲッツ】

晴れた空に浮かぶ綿雲を思わせるバラード奏法、淀みなく滑空するスインガー。クール・ジャズ特有の美学に咲いた清楚な花だろう。p161(悠)

ジェリー・マリガン/
オリジナル・ジェリー・マリガン・クァルテット

 

【ジェリー・マリガン】

この四重奏団は今なお新鮮だ。約50年も前の出来事とは思えぬ。ピアノレスはむろん、低音と高音の対照的楽器の組み合わせの妙、若きベイカーとの当意即妙のインタープレイ、無駄のない編曲による緻密なサウンド構成、等々。加えて52年とは思えぬ鮮度のいい音質。鼻息が荒かったこの時期の西海岸ジャズの盛りあがりを象徴する。p162(悠)

エリック・ドルフィー/アウト・トゥ・ランチ

【エリック・ドルフィー】

60年から2年間、信じがたいハードなスケジュールで名演を繰り広げた。彼のソロは予測しがたく動くのでなかなか捕まらない。p170(福島)

エリック・ドルフィー/

アットザ・ファイブ・スポットVOL.1
(ジャズCDベスト・セレクション)

 

【エリック・ドルフィー】

マイルスとコルトレーンの間で最も独創的な美学的貢献をしたのはモンクとドルフィーである。ドルフィーは過去を否定したのでも、未来の理想を語ったのでもない。その中で同志リトルと組み、力強く自己を奮い立たせようとした彼が、ここにいる。p171(悠)

エリック・ドルフィー/ラスト・デイト
(ジャズCDベスト・セレクション)

【エリック・ドルフィー】

1964年6月29日36歳でベルリンに客死する不出世の天才リード奏者ドルフィーの死の直前の録音。「音楽は一度聞いてしまうとそれで終わり。空中に消えた音楽を二度とつかまえることはできない」。末尾に収録されたドルフィーの肉声が胸に沁む。p171(稲岡)

ホレス・シルヴァー/ソング・フォー・マイ・ファーザー
(ポートレイト・イン・ジャズ)

 

【ホレス・シルヴァー】

60年代ジャズ喫茶の定番中の定番としてファンキー・ジャズの隆盛を担った。イントロが始まると皆、読書を中断してテーマを待った。独特のメロディとリズムがシルヴァーの音楽を形成した。p173(稲岡)

ベニー・ゴルソン/ゴーン・ウィズ・ゴルソン (枯葉)

 

【ベニー・ゴルソン】

フラーとのコンビによる59年吹き込みの1枚をここに揚げる。綿雲がもくもくとわくさまを思わせる彼のソロが楽しめる佳作。p174(悠)

レム・ウィンチェスター/ウィンチェスター・スペシャル
(jazz3)

 

【ベニー・ゴルソン】

モノクロテレビ時代のアメリカの背景に欠かせない定番のファンキー・スタイルを作った。教師のような風貌で、存在は地味だが職人的な名演が多い。あえてロシアン・ルーレットで命を絶ったレムとの共作。これは燻し銀である。p175(福島)

ビル・エヴァンス/ポート・レイト・イン・ジャズ (枯葉)

【ビル・エヴァンス】

1枚となれば、ラファロ在籍時の作品に指を折る。夭折の天才。ステレオ初期の録音だが、モノを中心に録ったらしく、有名な〈枯葉〉に2通りの音源があることが判って話題になった。今般、もう1曲が2通りで収録された。p177(悠)

ソニー・ロリンズ/サキソフォン・コロッサス (jazz3)

【ソニー・ロリンズ】

ハード・バップ時代を代表する作品を1枚といわれたら、まずこれを推す。フラナガンの洗練味、ワトキンスの強力な推進力、ローチの完璧なバックアップと相まって、文句のつけようがない威風堂々。高らかに、かつユーモア感覚も忘れず。ロリンズ節が闊歩するp179(悠)

キャノンボール・アダレイ/サムシン・エルス (jazz1)

【キャノンボール・アダレイ】

このアルバムはキャノンボール名義で発表した出世作である。彼の作品の中で最も知的で構成力に富み、その魅力も最大限に引き出されていてブルーノート・レコードの看板になっている程の名盤である。p182(福島)

キャノンボール・アダレイ・イン・シカゴ (jazz1)

【キャノンボール・アダレイ】

ライヴが映えるのも彼の性格ゆえだろう。本作は御大抜きのマイルス・グループの演奏。当時のマイルスの志向を離れてストレート・アヘッドな熱演を展開したところが面白い。p183(悠)

キャノンボール・アダレイ/

ポートレイト・オブ・キャノンボール
(jazz4)

【キャノンボール・アダレイ】

リヴァーサイドでの第1作。マイルス・デイヴィスやコルトレーンとの共演を通じて得た自信がみなぎり、精神的に完全に吹っ切れた力強い演奏をみせる。p183(稲岡)

秋吉敏子/ザ・トシコ・トリオ

【秋吉敏子】

バークリー音楽留学中27歳の吹き込。もっとも留学中2年にわたってニューポート・ジャズ・フェスに出演しているからすでに立派なプロである。曲目中の〈郷愁〉や〈蘇州の夜〉に異国に学ぶ彼女の心情偲ばれる。p185(稲岡)

クリフォード・ブラウン/イン・コンサート

(モダンジャズ決定盤)

【クリフォード・ブラウン】

54年3月ブラウン=ローチ5重奏団を結成する。本作はその直後の貴重なライヴ・レコーディングで、彼の几帳面で真摯なヒューマニズムを感じさせるプレイは、完璧な技術で見事に表現している。特に〈言い出しかねて〉は圧巻である。文句のない最高作である。p200(福島)

クリフォード・ブラウン/スタディ・イン・ブラウン
(ポートレイト・イン・ジャズ)

 

【クリフォード・ブラウン】

マックス・ローチとの双頭バンドも2年を数え、軌道にのってきたところでの事故死。ピアノのパウエル(バドの実弟)も同乗死した。正直なところエモーション溢れるブラウニーのラッパを聴くのは心が重い。いろいろな想いが錯綜する。p201(稲岡)

ブッカー・リトル/ブッカー・リトル (jazz5)

【ブッカー・リトル】

たった22年半の短い生涯。リトルの夭折は、ある意味ではチャーリー・クリスチャンやジミー・ブラントンのそれに匹敵するジャズ史上の痛恨事であった。60年代初頭はジャズが最終的進化の関門をくぐり抜けなければならなかった試練の季節に当たる。コルトレーンやドルフィーらとともにその最前線にいた彼は、作業の緒についたところで急逝したのだ。p230(悠)

ブッカー・リトル/ブッカー・リトル&フレンド

【ブッカー・リトル】

これはリトル最後のレコーディングである。ハード・パップからファンキー・ジャズがシーンを席巻している頃、必死に新しい語法を模索し、新主流派たらんとしたリトルの未完だが知的センス光るソロが随所に聴かれる〈イフ~〉を除きすべて彼の楽曲で、作編曲の才も見逃せない。p231(稲岡)

リー・モーガン/キャンディ

【リー・モーガン】

いわく、早熟、栄光、金、麻薬、女、射殺。しかし、このアルバムは波乱万丈のドラマがスタートした直後の作品で、そのような人生の辛酸の影は微塵もみられない。ワン・ホーンでスタンダードに挑戦して凛々しい若武者ぶりである。p238(稲岡)

リー・モーガン/リー・モーガンVOL.3
(モダンジャズ決定盤)

【リー・モーガン】

デビュー時の恰好よさで忘れられないのはモーガンだ。颯爽という形容がピッタリの吹きっぷり。都会的で、いなせで、ちょっぴり不良っぽくて。本作での〈クリフォードの思い出〉。何と19歳だった。